鼻形成

 鼻の手術は私の専門の1つでもあります。鼻は単に高くするというだけでは美しい鼻にはなりません。もちろん鼻が低い鞍鼻は隆鼻術の適応です。 しかし。多くの東洋人の鼻は鼻翼が横に広がる広鼻、あぐら鼻、鼻尖が丸く鼻翼も広いだんご鼻など、鼻尖や鼻翼の幅が広い広鼻が多いため、整鼻術も必要です。 これらの鼻は高さがあればシリコンインプラントをいれなくても整鼻術で美しくなる症例も多いのです。具体的には鼻翼の縮小・切除、鼻尖形成、鼻尖延長、鼻柱延長・下降、鼻孔縁延長、鼻骨骨きりなどです。 シリコンインプラントにかわる自家組織としては耳介軟骨、筋膜移植も有効です。それでは具体的にわかりやすく説明しましょう。
※ はじめて鼻を高くしたい場合はどのような方法があるでしょうか?
まずヒアルロン酸注入による隆鼻をしてみて、自分の鼻が高くなったらどんな感じかシミレーションしてみるといいと思います。ただし、ヒアルロン酸は吸収性素材で一時的なものなので、定期的に注入が必要になります。
(ヒトの体にはヒアルロン酸を分解する酵素があるのでヒアルロン酸は吸収されます)ヒアルロン酸に非吸収性のものを混合した素材や非吸収性素材(アクアミド)は長期的には皮下に肉芽など硬結や 炎症を起こすことがあるので避けた方がいいです。ラデイエッセ(ハイドロキシアパタイトなどカルシウム製剤)は比較的長く維持されます。 皮膚が厚い方はいいのですが鼻の皮膚がうすい方は白く浮きでたり、カルシウムが吸収する過程ででこぼこになる場合があるので注意が必要です。


隆鼻術

1)シリコンインプラントを用いた隆鼻

比較的簡単に鼻を高くすることができます。しかし、人工物を鼻に安定的に定着させるという手技は案外難しいのです。 当院では患者さんのそれぞれの鼻の状態に合わせてシリコンインプラントの形を形成します。当院のシリコンは柔らかい特殊なシリコンなので他の硬いものより長く安定し、異物感が少ないのが利点です。
シリコンインプラントを鼻の穴の中を切開し、鼻内から鼻背の骨膜下に挿入します。骨膜下にいれると鼻根部のシリコンが動かないようになります。 また、シリコンが移動して鼻が曲がるのを防ぐことができます。皮下に挿入した場合は鼻の根元を触ると動くので生理的ではありませんし、長年の間に左右どちらかにシフトする可能性があります。

欠 点
術後早期の問題として、感染があります。感染を生じると周りの組織に炎症が及んで組織が溶けるので、鼻が萎縮するという問題が生じます。 感染を生じたらただちに抜去し、炎症が落ち着いてから再度挿入するのがベストです。もちろん感染を起こさないようにするには抗生剤の点滴と内服をしっかり行うことが大切です。 また、血腫(血がたまること)ができると鼻の皮膚の色が紫に変わり、ぶよぶよします。その場合はすぐに医院に連絡して診察後必要であれば血を出してもらいましょう。血腫は感染の原因になります。
皮膚の薄い方はシリコンインプラントのみを用いない方がよいです。挿入後にさらに皮膚が薄くなり、シリコンインプラントの形が外側からわかるようになるからです。 骨膜下に挿入し、筋膜を併用するとこうした症状は比較的軽減できます。私はL型インプラントよりもI型で鼻背部を高くして鼻尖部は自家軟骨 (耳介軟骨,筋膜)を移植することを勧めます。 この方法は長期間経過しても安心です。
長期間の経過後、シリコンインプラント自体は人工物なので体内で吸収することはありません。しかし、シリコンの周りの組織が変化して、鼻の形が変形を生じる場合があります。 シリコンの周りに被膜ができ鼻先が上がってup noseになり、シリコンが湾曲して鼻が曲がることがあります。ですからシリコンインプラントをいれたら10〜15年くらいで入れ替えの検討が必要です。 現状の形に満足している場合は無理に入れ替えを行う必要はありません。
鼻先が薄くなり、赤くなる方がいます。また、ひどくなると鼻尖からシリコンインプラントが露出して破れそうになる場合は再生医療を用いた培養軟骨による移植術を勧めます。この方法は長期間経過しても安心です。

術後経過
1週間は鼻が腫れます。3〜4日間はテーピングなどの外固定が必要です。鼻の手術をすると目の周りも腫れます。皮下出血(青じみ)を生じることがあります。 これは2週10〜14日くらいで消えます。お化粧でカバーできます。翌日から首から下のシャワーはできます。3〜4日間はテーピングしているので洗顔、洗髪はできません。


費 用
・隆鼻術(シリコンインプラント) 300,000円+消費税
・隆鼻術(シリコンインプラント)+鼻尖部軟骨,筋膜移植 500,000円+消費税
2)シリコン隆鼻後の抜去について

鼻の皮膚が比較的厚い方はシリコンインプラントを抜去しても、鼻は低くなりますが、形がかわることは少ないです。 しかし、鼻尖部の皮膚がうすい方はシリコンインプラントを抜去すると鼻先がへこむ場合があります。抜去後しばらくすると組織が瘢痕化で縮むので、縮こまった鼻先になったり、陥没が残ったりします。 安易に抜去しないで、きちんと準備しましょう。 この場合はあらかじめ抜去と同時に自家軟骨 (耳介後ろ筋膜)を移植することを勧めます。抜去後しばらくすると組織が瘢痕化で縮むので、縮んだ鼻先になったり、陥没が残ったりします。 安易に抜去しないで、きちんと準備しましょう。

費 用
・シリコンインプラント抜去 80,000円+消費税
・シリコンインプラント抜去+鼻尖筋膜移植 80,000円+消費税
・重瞼切開法(加齢による変化) 200,000円+消費税
3)耳介軟骨+側頭筋膜を用いた隆鼻

ご本人の耳のうしろから、前から見て耳のへこんだ部位に相当するところの耳介軟骨を採取します。耳介の軟骨膜を残して採取するので、術後数ヶ月すると線維性の軟骨様組織が再生されてあまり目立たなくなります。 耳の形も変わりません。側頭筋膜は、髪の毛の生えているところを切開して採取します。 側頭筋膜で耳介軟骨を細かくしたものを巻いて鼻背〜鼻尖部に移植します。側頭筋膜で軟骨をまくので、従来行われてきた軟骨移植単独で生じたような軟骨の形が皮膚に浮き出たようになることはありません。 耳の後ろから採取するので、きずはほとんど目立ちません。

欠 点
術後早期の問題として、感染があります。感染を生じると周りの組織に炎症が及んで組織が溶けるので、鼻が萎縮するという問題が生じます。 感染を生じたらただちに抜去し、炎症が落ち着いてから再度挿入するのがベストです。もちろん感染を起こさないようにするには抗生剤の点滴と内服をしっかり行うことが大切です。 また、血腫(血がたまること)ができると鼻の皮膚の色が紫に変わり、ぶよぶよします。その場合はすぐに医院に連絡して診察後必要であれば血を出してもらいましょう。血腫は感染の原因になります。
皮膚の薄い方はシリコンインプラントのみを用いない方がよいです。挿入後にさらに皮膚が薄くなり、シリコンインプラントの形が外側からわかるようになるからです。 骨膜下に挿入し、筋膜を併用するとこうした症状は比較的軽減できます。私はL型インプラントよりもI型で鼻背部を高くして鼻尖部は自家軟骨 (耳介軟骨,筋膜)を移植することを勧めます。 この方法は長期間経過しても安心です。
長期間の経過後、シリコンインプラント自体は人工物なので体内で吸収することはありません。しかし、シリコンの周りの組織が変化して、鼻の形が変形を生じる場合があります。 シリコンの周りに被膜ができ鼻先が上がってup noseになり、シリコンが湾曲して鼻が曲がることがあります。ですからシリコンインプラントをいれたら10〜15年くらいで入れ替えの検討が必要です。 現状の形に満足している場合は無理に入れ替えを行う必要はありません。
鼻先が薄くなり、赤くなる方がいます。また、ひどくなると鼻尖からシリコンインプラントが露出して破れそうになる場合は再生医療を用いた培養軟骨による移植術を勧めます。この方法は長期間経過しても安心です。

術後経過
1週間は鼻が腫れます。3〜4日間はテーピングなどの外固定が必要です。鼻の手術をすると目の周りも腫れます。翌日から首から下のシャワーはできます。 3〜4日間はテーピングしているので洗顔できません。耳介軟骨や側頭筋膜を採取した場合、4日間洗髪はできません。 皮下出血(青じみ)を生じることがあります。これはお化粧でカバーできますし、10〜14日くらいで消えます。


費 用
・隆鼻術+鼻尖部軟骨,筋膜移植 500,000円〜+消費税
どのくらい耳介軟骨を採取するのかにより料金は異なります。
4)肋軟骨を用いた隆鼻

ご本人の乳房の下を切開して肋軟骨を採取します。胸に傷がつくのが難点です。ダウンタイムが長く、胸の痛みが長く続きます。2〜3週間くらい仕事はできません。 また、耳介軟骨に比べて硬くなります。移植後年数が経過すると肋軟骨の本来もっている性質で軟骨が曲がるのが欠点です。

5)鼻骨骨切り

鼻骨が横に広がったタイプの鼻は鼻骨の骨切りをして幅を狭くすると、必然的に鼻骨が中央によるので高くなります。鼻の穴から手術するので傷は表面にでません。 本来の鼻骨が高くなり、幅が細くなるので自然な感じになりますが、高さは鼻骨の本来の大きさに左右されます。異物を入れないで高さがでるのでとても良い方法です。 繊細な技術を要します。欧米ではこの方法が多く用いられています。

欠 点
骨きり手術は術後歯科治療後のように腫れます。比較的ダウンタイムが長いことです。

術後経過
2週間は鼻が腫れます。2日間は止血のため、鼻の穴にガーゼをつめるので口呼吸しかできません。3〜4日間はテーピングなどの外固定が必要です。 鼻骨の手術をするので目の周りもかなり腫れます。翌日から首から下のシャワーはできます。7日間はテーピングしているので洗顔、洗髪はできません。 皮下出血(青じみ)を生じることがあります。これは2週程度で消えます。お化粧でカバーできます。ダウンタイムは長いですが、鼻の痛みは強くはありません。


費 用
・隆鼻術のための鼻骨骨切り 600,000円〜+消費税
6)再生医療を用いた自家培養軟骨移植

詳しくは自家培養軟骨移植のコーナーをごらんください。 自家培養軟骨細胞移植はご自身の耳介軟骨のごく一部を採取して、体外で軟骨細胞を培養して増やしたのち、体内へ移植するという新しい治療です。特許に基づく培養技術により作製される培養軟骨を用いた手術方法です  当院は2015年から再生医療安全確保法の第2種再生医療の認定施設です。      細胞加工施設施設番号: FC7140009      細胞提供施設(自家培養軟骨細胞注入):認定番号/ PB7150004

施術方法(その他)

1)鼻尖形成術

鼻先を高くする手術で、本来鼻にある鼻翼軟骨を形成して高くする方法と、耳介軟骨、鼻中隔軟骨や側頭筋膜を移植して高くする方法があります。患者さんの鼻の形によって手術方法や移植量などが決まります。
当院では鼻尖形成術に用いる側頭筋膜は通常、耳の後ろから採取します。ですから側頭部有毛部に傷が付くことはありません。
① 鼻翼軟骨を引き寄せる:広がった鼻翼軟骨を剥離して引き寄せて縫合する方法:単に糸でしめる場合は糸が緩むともとに戻ります。鼻翼軟骨をはがして止めると後戻りはほとんどみられません。
② 耳介軟骨、鼻中隔軟骨移植;耳介軟骨や鼻中隔軟骨を採取して鼻尖に重ねて移植する方法と鼻尖部を支持し延長するように移植する方法があります。

欠 点
②の場合長期経過すると軟骨が多少吸収されることがあります。その場合多少凹凸がしょうじますが、筋膜を軟骨の上に重ねると凹凸がわかりにくくなります。

術後経過
①の場合:ダウンタイムは短期間で腫れもほとんど目立ちません。 ②の場合:1週間は鼻が腫れます。3〜4日間はテーピングなどの外固定が必要です。鼻先の手術なのであまり目の周りは腫れません。翌日から首から下のシャワーはできます。 3〜4日間はテーピングしているので洗顔はできません。耳介軟骨を採取した場合、耳に固定をするので1週間、洗髪はできません。皮下出血(青じみ)を生じることがあります。 これは約2週間程度で消えます。お化粧でカバーできます。


費 用
・鼻尖鼻翼軟骨形成術のみ 300,000円+消費税
・鼻尖形成術+耳介軟骨+筋膜 500,000円+消費税
・鼻尖形成術+耳介軟骨+鼻中隔軟骨 600,000円+消費税
2)鼻尖+鼻柱延長術

鼻の長さが短い。鼻がup nose(鼻先が上に向いている場合)や鼻が短く見える場合はこの手術は効果的です。 鼻柱延長は鼻中隔軟骨の一部を採取して、鼻柱と鼻尖の間、鼻尖部に移植する手術を行います。鼻中隔の発育が悪い場合は耳介軟骨や肋軟骨を移植します。
鼻を長くして、鼻先も伸ばすので比較的技術を要する手術です。


費 用
・鼻柱延長術(鼻中隔軟骨+耳介軟骨移植) 600,000円+消費税
3)鼻のあな(鼻孔縁)形成術

鼻の穴がみえる。鼻翼が上に上がっている場合は耳介軟骨+皮膚を合わせて鼻翼の裏側に移植します。こうすると鼻翼がさがります。


術後経過
1週間は鼻先が腫れます。3〜4日間はテーピングなどの外固定が必要です。翌日から首から下のシャワーはできます。3〜4日間はテーピングしているので洗顔できません。 耳介軟骨採取した場合、1週間は洗髪はできません。皮下出血(青じみ)を生じることがあります。これは約2週間程度で消えます。お化粧でカバーできます。


費 用
・鼻のあな(鼻孔縁)形成術+耳介軟骨移植 400,000円+消費税
4)鼻翼縮小術

鼻翼の横幅が広い場合は鼻翼の余分な組織をとることで小さくできます。私はできるだけきずが目立たないように内側を切除する方法を第一選択にします。 非常に大きな鼻の場合は外側をきらなければならない場合もあります。当院の手術方法は表の傷痕がほとんど目立たないので多くの患者さんから喜ばれています。


費 用
・鼻翼縮小術 400,000円+消費税
5)だんご鼻形成(整鼻術)

日本人によくある鼻のタイプで鼻が低く横に張り出した鼻です。鼻尖形成と鼻翼縮小を組み合わせることで、ドーム状の丸い鼻を細くすることができます。 だんご鼻の手術を行うと鼻の形はすっきりします。具体的には鼻尖形成は鼻翼の引き寄せ+耳介軟骨移植+鼻翼縮小を行います。鼻翼縁の組織を一部とって細くする場合もあります。
さらに鼻を高くすることを合わせて希望される場合は鼻根部にインプラントや自家組織(耳介軟骨、鼻中隔軟骨、側頭筋膜)を併用するとよいでしょう

費 用
・鼻翼だんご鼻の整鼻術(鼻尖形成術+鼻翼縮小術
+耳介軟骨移植+側頭筋膜移植の組み合わせ)
500,000円〜+消費税
6)かぎ鼻の鼻骨骨切り

かぎ鼻は鼻背にある盛り上がったこぶの隆起です。これは鼻の穴のうち側を切開して、器具を挿入してこぶの隆起を削ります。 術後出血するとまたこぶ状の隆起ができすので、しっかりテーピングが必要です。7日間はテーピングしているので洗顔できません。 皮下出血(青じみ)を生じることがあります。これは約2週間程度で消えます。お化粧でカバーできます。

費 用
・かぎ鼻修正術 300,000円+消費税
7)唇裂口蓋裂後の鼻変形の形成術

唇裂口蓋裂後の鼻の変形の主な特徴は下記のものが多いのですが、個々の症例に応じてよく診察して、変形に応じた形成術を行います。
 ① 鼻骨が広く横に広がっている
 ② 鼻尖が丸く平坦で非対称
 ③ 鼻翼が横に流れて広がっている
それぞれの症状に合わせて、形成を行います。基本的には鼻骨の骨きりで鼻を高くし、鼻尖部は鼻翼軟骨を中央に寄せて細くタイトにします。
 患側の鼻翼軟骨が発育不全の場合は、耳介軟骨を採取し、鼻翼部に移植補足し、左右対称性に組み立てます。患側鼻翼の縮小し、位置移動を行います。 唇裂口蓋裂後の鼻変形の治療は大変難しいのですが、どこをどう治せばいいかを十分は理解していれば、患者さんが満足ゆく結果が得られます。

鼻尖形成術+鼻翼縮小術+耳介軟骨移植+側頭筋膜移植+骨切り術の組み合わせを行います。
患者さん個人個人で症状がことなるので診察にてもっとも適した治療法について説明致します。